まろいまろいからたちの実が

 金色に実り、匂い立つ頃。

 柳川はふるさとを肌に感じる祭りが続く。


 先人たちから受け継ぐ伝統芸能、

 澄み渡る空に響く音。

 生まれる前から同じ音。

 祭りは昔と今をつなぐトンネル。

 変わらぬ信仰、変わらぬ思い。


 祭りに加わる毎に、

 ここに根を張り大きく育つ。

 情緒豊かな柳川、実りの秋。
◆浦安の舞
「あめつちの神にぞ祈る朝なぎの
海のごとくに波たたぬ世を」
神待つ舞は、
千早緋袴、可憐な姿のハレ舞台。
※三柱神社 秋季大祭 おにぎえ(10月上旬)
◆御神幸行列
山車、御神輿、お稚児さん、
御神馬、ひょっとこ引き連れて。
先頭進む裃姿の四代目。
※三柱神社 秋季大祭 おにぎえ(10月上旬)
◆どろつくどん
「おにぎえ」の見せ場は、
何と言ってもどろつくどん。
ドンドン、ジャーン!
轟く太鼓とドラの音。
引き手を鼓舞し、
山車は揺れる回る。
身を乗り出す踊り手の
表情、仕草に拍手喝采。
ダイナミックに見得を切る。
◆今古賀流風流(どんきゃんきゃん)
小獅子姿の小学生。
謡に合わせゆっくりと。
鉦に合わせて軽やかに。
舞い踊る太鼓の三人打ち。
龍神さまに捧げる
どんきゃんきゃん。
※三島神社境内 竜神宮〜柳川各町内
(10月第2土日月)
赤鬼、青鬼の面をつけ
どんきゃんきゃんに合わせて
雄叫び上げる。
おっかなびっくり幼子の
ぎゃん泣き顔に、大人たちは大笑い。
◆白秋祭水上パレード
郷土の偉人・北原白秋の
遺徳を偲ぶ白秋祭。
掘割に茜さす頃
灯籠ともした80艘のどんこ舟が
水上パレードに出発します。
お掘沿いは催し盛りだくさん。
芸達者揃いの真骨頂。
※白秋の命日11月2日を挟んだ3日間
言葉の魔術師白秋の
57年の生涯は、
「柳河こそは我が詩歌の母体」
と綴った『水の構図』で
絶筆となりました。
わかりやすい言葉を並べ、
深い意味を加えた白秋の詩歌は、
日本の風景、日本の心を伝え、
日本語の美しさと豊かさを教えてくれます。
絵本を開くように情景が目に浮かぶ
「待ちぼうけ」
市民総出のおもてなし。
「こんばんは〜」
「よう来めしたのも〜」
花火片手に、子どもらの声が弾け、
次々通過する舟を大歓迎。
別世界へ誘われるように
光の中に吸い込まれていく。
水上パレードのクライマックス。
圧巻の提灯トンネル。
舟を降りたら白秋詩碑苑へ。
帰るに帰れない望郷の念を綴った
「帰去来」を合唱し、
白秋先生の思いと向き合います。
楽しかった白秋祭は、
静かなセレモニーで幕を下ろします。

柳川季節めぐり
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